いまの会社でWebディレクターを6年ほど続ける中で、 何度か転職を考えたことがありました。
実際にいくつか求人系の有名なサイトに登録して、 実際に3社の面接を受けに行くまで行動を起こしたし、 また、逆に面接する側も経験しています。
私の場合は、転職しなくて正解でしたが、 自分に合う求人を見極め、転職を成功させる鍵は、 なぜ転職したいのか?という明確な理由です。
今回は、 転職するか悩んでいるWebディレクターへ向けて、 求人サイトや募集を見る前に、 整理しておきたい理由と、転職への考え方を書きたいと思います。
理由が「現状」スタートの場合は熟考が必要
あなたが今、求人サイトを開いているとしたら、次の会社を探している理由はなんでしょうか?
「給料が安い」
「クライアントワークや代理店との折衝に疲れた」
「ディレクター同士で仲が悪く仕事がつらい・・・」
など様々な理由があると思いますが、その理由が、「現状」と「未来」のどちらがスタートなのかを明確にしておく必要があります。
転職理由が「現状」スタートのケース
1.職場環境
「土日も休めず、体が持たない」
「1人で抱えきれない量の案件でいつまでも仕事が終わらない」
「こぼれたタスクは全部対応が自分になってつらい」
など、会社の環境起因で、 心身ともに疲弊するケース。
この場合は、素直に次を探したほうが良いです。
まず、あなた自身が心身ともに疲弊した状態だと、 眼の前のタスクにいっぱいいっぱいで、そのうち思考停止が始まります。
そして、物事の優先順位や、 自分の人生に本当に必要なことが見極められなくなり、 完全に潰れないと見つめ直せなくなってしまう。
第二に、そういった環境の会社は、あなたの業務量や負荷を真剣に考えていないか、真剣に考えているが優先順位を上げられない可能性がある。
真剣に考えていないなら、経営者(マネジャー)の個人の資質に問題があり、真剣に考えているが優先順位を上げられないのであれば、会社・組織としての構造に問題があるでしょう。
構造の例でいうと、特にクライアントワークの場合、いただく制作費の中でやりくりをして利益を生んでいく構造なので、多少の無理を飲まざるを得ない状況が出てくる。また、中長期での関係性も含めると案件自体を断るということが難しく、最終的には現場にしわ寄せが集中します。
また、あなたのマネジャー自身が考慮をしていたとしても、さらに上のマネジメント層がその状況を正しく認識できていないケースもあり、経営者との距離が近くトップダウンのような会社の場合はとかなりの時間を要するでしょう。
会社に代わりはいるが、あなたの代わりはいないのです。
2.人間関係がつらい
「クライアントとの”板挟み”に疲れた」
「デザイナー、エンジニアとソリがあわない」
「ディレクター同士が仲が悪い」
「上司や社長の方針や意思決定に納得できない」
などの人間関係が起点のケース。
私も、この理由で転職を考えました。
ちなみに社内の人間関係が起因している場合は、 転職以外の可能性があると考えます。
例えば上司に相談し、
・物理的に席を離す
・仕事で絡まないようにする(もしくは必要最低限にする)
などが可能なのであれば、一旦それで反応を見る。
または、
「相手に高い期待を抱いていないか?」
など、自分を振り返るのも有効な手段の一つです。
(なかなか難しいですけどね・・)
また”板挟み感”については、人と人が関わってWeb開発を進めていく以上、Webディレクターという職種にはいつでも存在する悩みとも言えます。
どんな事業でもステークホルダは存在するので、転職することが解決策にならない可能性があります。まずは”板挟み”の原因がどこから来ているのか?を考えて、改善できそうなアプローチをしてみると良いでしょう。
なお原因が”代理店とのクライアントワーク”であるなど、原因が明確な場合には、直取引が多い制作会社や事業会社への転職を考えることは良い選択でしょう。
3.給料を上げたい
「現状の仕事量に対して、お金が見合っていない」
などと感じたとき、 また、次のステージを模索しているときに考えやすい印象です。
注意したいのは、
現状より給料がアップするということは、 基本、今よりも高いレベルを求めれるケースが一般的ということ。
特に30代のWebディレクターの転職の場合、 給与を上げる一例として制作会社→事業会社など、 クライアント側に転職するケースがありますが、 この時、採用側は今後のポテンシャルも加味している可能性が高いです。
すなわち
「ただWebサイトを作れるだけでなく、今後、会社のビジネスに貢献できる人材になる素質を持っているかどうか?」
具体的には、事業内容や市場の状況など、マーケティングの理解力、組織のマネジメント経験、PDCAを回した実践・・・などです。
転職理由が「未来」スタートのケース
「○○の分野に興味がある」
「○○のサービスに携わってみたい」
など、未来(やりたいこと)が起点となる場合。
現状の理由が比較的ネガティブなのに対して、ポジティブな理由であり、転職時にはこちらの理由がベストだと考えます。
ただし、年代や募集職種よっては「やりたい」熱意や情熱だけでは、 空回りと取られる可能性があります。自分自身ができる(もしくはできるための道筋)を示す必要があるでしょう。
たとえば、Webを中心とした制作会社から、インターネットサービスの事業会社に転職する場合、サービスストアのルールや申請フローなどを含む、アプリ開発に関する全体的な知識や、サービスのUI/UXの改善、PDCAの実践などが主な業務領域となり、やることが大きく違ってくる可能性があります。
「○○をやりたいです!」という熱意だけでなく、具体的なアクションプランをもっているかどうかで、採用担当の印象はかなり違ってきますので、入社前から勉強やセミナーに通い、自分なりのアクションプランを考えるように意識してみてください。
転職の面接で失敗するケース
転職の理由は? と質問されたときに、あなたは何と答えるでしょうか?
「前職がかなりブラックで…」
「”板挟み”の人間関係に疲れてしまって…」
「かなり給与が低くて…」
上記のような理由をストレートに伝える人はあまりいないと思いますが、気をつけてほしいのが、下記のようなケースです。
「○○の事業に興味があり、今までのスキルを活かしつつWebディレクターとして貴社の事業に貢献できると思い応募しました。また、前職ではクライアントワークで受託の仕事がメインでしたが、板挟みもあり、環境もあまり良いとは言えず・・」
上記はかなり強引に結びつけましたが、採用担当との面談の中で、志望動機や理由に、このようなネガティブなニュアンスの話が少しでも出ると、面接する側はかなり敏感に感じ取ります。
「本当の理由は環境を変えたいからで、うちの会社である必要はないのでは?」
言い回しや言葉は慎重に選ぶことが必要です。
また、「未来」の理由であっても、やりたいという意思のみで通用するのは20代までかなという印象です。
30代にもなると、ある程度経験を積んできた人が多いので、どうやってその「未来」を実現したいのかも、セットで話す必要があるでしょう。 例えば、制作会社から事業会社のWebディレクターに転職する場合、上述でも触れたように、求められるスキルセットとは違ったものになります。 数値を読み解き、PDCAの実践やマーケティングの知識、事業を推進する力を身につける(もしくは発揮する)にあたって、どのようなアクションを起こして実現するのかを具体的に言葉にできるようにしておくなど、普段から準備をしておきましょう。
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