インハウスのWebディレクターが抑えておきたい2つのスキル

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今回は、制作会社から事業会社に転職を考えていたり、事業会社の中での立ち回りに悩んでいるWebディレクターの方に、自分の経験から、インハウスのWebディレクターが抑えておきたい2つの重要スキルを書きたいと思います。

「 制作会社でやってきたスキルは通用するの? 」

「どんなスキルが重要なの?」

「インハウスでWebディレクターをしているけど、具体的に何を意識すればよいかわからない…」

などのお悩みに、少しでもお役にたてることがあれば幸いです。

なお、ここでいうインハウスのWebディレクターの定義は、自社事業のマーケティング領域に携わるWebディレクターを前提として話していきます。

大規模なシステム開発やサービス運用の現場を想像していた方はすみません…ただ、自社事業のWebディレクターのエッセンスというか、フレーバー(謎)は感じていただけるかもしれません。

本題に入る前に

まず大前提の話ですが、”インハウスで働く”ということは、 職種に関係なく、すべての人が何かしらの自社事業の利益に貢献するために働いているということです。

この前提に立って、”インハウスのWebディレクター”という立場・職種をあてはめて考えると、 「Webサイトを作る」のはあくまで手段であって、 本質は「いかにWebを通じて自社の事業利益に貢献できるか?」という言い換えが出来ると思います。

重要なので繰り返しますが、インハウスで「Webサイトを作る」進行役として存在しているポジションならば、Webディレクターをアサインしてもらえる外部の制作会社にサイトを発注するのと差分はあまりありません。インハウスで働く場合は、その差分を明確に意識する必要があります。

なお、ここでいう「自社の事業の利益」ですが、


・売上が上がった

・サービスの月間利用者数が伸びた

・アプリが100万ダウンロードを突破した

などの直接的でわかりやすい利益の場合のほかに、

・お客様のサービス解約が高まるタイミングで、離脱を防ぐための対策を打って解約率を下げた

・TVCMなどのマス広告と連動して製品詳細が理解できるサイトを作り、お客様が製品と接点を持つ滞在時間を上げた

など、直接的に見えづらい貢献も利益として含んでいます。

ただし、いずれもそのサイトを作った「明確な目的」と「具体的に図れる定量の結果」がセットで必要です。

インハウスのWebディレクターが抑えておきたい2つのスキル

前置きが長くなりましたが、私はこれまでの経験から下記だと考えています。

・ロジカルシンキング

・「人」と「場」のファシリテーション

上記は、すべての業種・業界で働くWebディレクターの基本的な要素でもありつつ、 インハウスで働くWebディレクターにとっては特に重要なスキルだと考えています。

なぜならこの2つは、社外でのクライアントワークを行うWebディレクターと比較して発揮できる伸びしろが高い領域であり、ひいてはプロジェクト自体の成果、コスト、クオリティを左右するものだと考えているからです。

ロジカルシンキング

「Webディレクターに必要なスキル」とググると、大体書かれているロジカルシンキング。

インハウスのWebディレクターの場合、サービス開発でもマーケティングでも、何かしらのPDCAを回していると思われるので、その精度を上げるための土台として必要な能力だと思います。

このスキルの発揮どころをインハウスでの仕事の具体な場面に置き換えると、(P:計画)の段階で、事業担当者やマーケティング担当者が考えている戦略/目的を理解し、彼らに疑問をぶつけ、時に代案を出し、最終的に目指すべき目的と目標を、まずは自らが彼らと同じくらいに理解した状態を作るときに必要になってきます。

なぜなら、この後に関わる(D:実行)全ての行動やタスクの判断は、この目的を基準にして行われるからです。


例えば、

・コンバージョンのボタンはどの位置に、どの程度設置するべきなのか?

・シェアされたときに出すテキスト、シェアのアイキャッチ画像のコピーは何を入れるべきなのか?

・デザイナー、エンジニアから出た追加要望やアイディアを、どこまで取り入れるべきなのか?

・アクセスされるブラウザや推奨環境はどこまでをスコープに入れるのか?

・サイトのインフラは何を選ぶのか?

など、様々な粒度の場面で、常に目的に沿った判断をしていく基準となります。

また、開発したwebサイトの成果の計測や振り返りの場面(C,A:チェック&アクション)でも、

「目的に対してどうたったのか?」

「なぜこの結果になったのか?」

「次に打つべき一手は何なのか?それはなぜなのか?」

考察し、整理し、次に繋がる示唆を出す という能力が必要になります。

人と場のファシリテーション

個人的にはここが一般的な社外とのクライアントワークとインハウスの一番の違いであり、インハウスでのWebディレクターとしての真価が問われる場面かなと個人的には考えています。

まず人と場のファシリテーションについて考える上で、 まずはテスラのイーロン・マスクCEOが従業員に送った至言をご覧ください。

イーロン・マスクがテスラの従業員に宛てたメール「優れたコミュニケーションの姿」が頭にガツンと効く一撃
https://gigazine.net/news/20170901-elon-musk-what-great-communication-looks-like/

GIGAZINE

私は特に、下記のあたりが本質だと考えています。

従業員は誰でも、最速で問題を解決して会社に貢献できると考えた相手に対し、直接メールや口頭でコンタクトを取ることができるし、そうすべきだ。

物事が正しい方向に進むまで、自分にはその義務があると考えて良い。重要なのは、これは単なる世間話をするためではなく、テスラが超迅速に物事をうまく進められるためであることを認識してもらいたい。

最終的な目的の一つは、会社の中でコミュニケーションを阻害するような対立した人間関係を生みだし、閉鎖的な組織を作り出すことを防止するために、マネージャークラスの従業員が全力を尽くすことにある。

(中略)

我々は同じ一つのボートに乗っている。皆さんには、自分の部署のためだけではなく、常に会社のために良いことを考えてもらいたい。

制作会社とインハウスの決定的な違いは、クライアント(=インハウスでいうと社内の事業担当者やマーケティング担当)との距離が近さがあります。

言い換えれば、自分が知りたいと思えば、クライアントが実際にどのような仕事を、どのような考え・姿勢でやっているかが見えるので、その人の性格や特性、状況に応じた「人」と「場」の作り方が自由にデザインできるということです。

「人」のファシリテーションでいえば、シンプルに言うと、①極力不要な板挟みやボトルネックを作らず②タスクの完了に必要な人同士を最短でつなぐ ということ。

またつなぐだけでなく、双方のコミュニケーションが円滑になるような背景や配慮をする能力。

かなり細かい例でいえば、

Webサイトの開発に必要な素材を、手配から回収をディレクターがすべて行うのではなく、素材を集約する場所はディレクターが用意しつつ、素材の手配者とデザイナーを直接つないで、両者で解決するように場をもっていく。

また、その際に、

「○○さんは製品開発の企画推進も兼務しているから、素材の回収が遅くなるかもしれないですよね。そのときは誰に相談したら良いのでしょう?」

とか、

「○○さんがこれからデザインを作るにあたって、必要な素材の手配に優先順位をつけるとしたらどうなりますか?」

など、

自分が間に立ってすべてをまとめるのではなく、双方の立場や状況を踏まえて、お互いに理解が深まるコミュニケーションを心がけるイメージです。

また同様に、「場」のファシリーテションを考える場合、

例えば、

成果物の設計レビューやデザイン確認の場を設ける際、その決裁権をもっている担当者がプロジェクトで大きな施策を抱えていて本業で忙そうであれば、

事前に要点と資料を整理し、「30分の打ち合わせの中で絶対にマストで抑えておくべき意思決定を引き出す

とか、

サービスへの愛着やこだわりが強い事業担当者なのであれば、プロジェクトのキックオフ時に確実にデザイナーとエンジニアを巻き込んで、直接質問やヒアリングする議題を打ち合わせの時間に組み込んでおき、クリエイティブのトーン&マナーや、抑えておくべき製品理解のポイントの精度を上げる

など、

①そのプロジェクトの場にいる人たちの状況・特徴・背景を整理し、②「どのような進め方が一番早いのか?」を考え、③そのときの状況に応じて適切な場を作って進行するイメージができるかどうか? で、大きくその後のスピード感やクオリティが左右されます。

「Webディレクターだから」という概念が強すぎると、「間に入って調整しなければ・・・」という意識が強く働き、気づくと同じフロアで仕事をしている人なのに、”板挟み”役となっているケースがあります。

これは普段から自分の立ち振舞いを内省し、俯瞰で見れるようになると、今よりももっとスムーズな立ち回りや進行方向を発見できるかもしれません。

今日書ききれなかったその他のスキル

個人的にこの他に考えられる重要なスキルとしては、


「ビジネス理解」「優先順位力」「プレゼンスキル」

などなど・・が思い浮かびましたが、うまく整理できていないので、またこれは別の機会に書きたいと思います(笑)

最後までお読みくださりありがとうございました。

Webディレクターの皆様にとって、このエントリーが少しでもお役に立てれば幸いです。

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