Web業界未経験者がwebディレクターとして立ち上がった話

未分類

「未経験からWebディレクターになれるのか?」


と問われたら、Webディレクター経験者の皆さんは、なんと答えるでしょうか?

今回このテーマを取り上げるにあたってググってみたところ、

「厳しい派」

「頑張ればなれる派」

に意見は割れているようです。

私としては、「なれないことはないが、一定の条件が揃わないと難しい」という所感なのですが、今回は私の会社で、実際にWeb業界未経験者で入ってWebディレクターとして立ち上がった人の話をしたいと思います。

「Webディレクターって未経験でもなれるの?」と、可能性を探しているWeb業界未経験の方や「経験が浅い新人を教えることになった」という先輩Webディレクターの方に、この記事から少しでもお役にたてることがあれば幸いです。

全くの未経験から1年で立ち上がった、藤本さんの軌跡

藤本さん(仮名)は20代後半で入社。

経歴を軽くサマると

・前職では小さなエンタメ系の会社で営業から裏方まで幅広く仕事をしていた

・Photoshop等のデザインツールはちょっと使える(簡単なフライヤーなどはできる)

Webは全くの未経験。なのでWebデザインやフロントエンドの知見はない

という状況でした。

マネジャーは「良い人そう。あと面白そう。」という理由で採用したそうです。

私が一番社歴が長かったこともあり、藤本さんを同じプロジェクトで教えることなりました。

入社から1年の流れ

入社当時、まず本当に軽くオリエンをしたあと、すぐにOJTでやりました。 座学はほぼ無し。

やる仕事の内容は最初にざっくり説明する

一緒にやってみる

毎日30分くらい時間を取ってわからないところを教える時間を設ける

を繰り返して業務を実践して覚えていきました。

また、本人と話しながら、マイルストン(目標)をきめました。

最初の3ヶ月は「まずは仕事になれる」ことを目標に。

具体的には、

①ワイヤーフレームなどの資料は、過去案件をまるごとコピーでOK。そこから応用する。

②資料など作ったものは必ずレビューを通す

③スケジュールは自分がきり、ちょっと先の作業を解説する

といった流れです。

3ヶ月以降は、上記の日々の達成度や理解度を見ながら、少しずつ少しずつやれることの幅を広げていきました。

 ・使われている単語やタスクの意味と目的を理解する

 ・スケジュールが切れるようになる

 ・企画を立ててみる

 ・少しシステムが絡むサイトを作ってみる

 ・外部に開発を発注してみる

 ・結果の振り返りをしてみる

 などなど。


結果、1年経つ頃には徐々に教える時間も減っていき、ほぼ自走できるように立ち上がっていました。

そんな彼は現在約3年目ですが、今では複数の案件を回すのはもちろんのこと、事業部のデータ分析担当と連携して、Webサイトの価値測定の新たな仕組みを作ったりと、非常に頼もしいディレクターとして活躍しています。

Web未経験者がディレクターとして立ち上がる要素を考察してみる

この藤本さんの立ち上がりから、全くのWeb未経験者がWebディレクターになるための要素や環境を考察してみたいと思います。

①素直である

以前のエントリーでも書きましたが、個人的には「素直さ」は最強のスキルであると感じています。 藤本さんも本当にスポンジのような吸収力で、

まずは言われたことを素直にやってみる → 自分なりのアレンジを加える

といったことを繰り返していました。

②素養がある

シンプルにWebディレクターとしての素養がありました。


・感情の起伏が少なく、どんなときでも淡々と仕事をする。

・とはいえ冷たいわけでもなく、コミュニケーションはいたって温和

・確認、連絡、資料作りなど、とにかくマメ

など。

③教える側との相性が良い

私自身もどちらかというと藤本さんのようなタイプだったので、 価値観や性格が似ていたなと思います。

結果的に相性がよく、

「ここで迷うだろうな?」とか、「こういう伝え方すると理解しやすそうだな」などの部分が双方でハマりました。

④余裕がある

私の同じプロジェクトで業務量を分担できたので、比較的余裕がありました。 また席も近く、密にコミュニケーションがとりやすかったということも影響していたと思います。

⑤デザイナー、エンジニアも協力してくれる

当時のプロジェクトのデザイナー、エンジニアも性格的にも非常に良い人で恵まれていました。
彼らが様々なことやスケジュールについてのアドバイスもくれて、細かいしくじりなども許容してくれるような環境だったからこそ、ここまで伸びた要因があるかもしれません。

【教える側】先輩Webディレクターからみた、大事そうなポイント

ここからは経験が浅いメンバーをフォローすることになった、先輩Webディレクターの皆様へ、私が1年かけて学んだ経験から大事そうなポイントをお伝えします。

①「わからないことがあったら聞いてね」は高確率で事故る


未経験の人は、「わからないこと」自体がわからないです。

例えば仮に、

「サイトのワイヤーフレームを作った後(もしくは同時)に、推奨環境も定義しとくと良い」

というような知識をもっていたとしても、

未経験の人には、推奨環境を決めるというタスク自体が想像がつきませんし、わからないのです。

これは自分の当たり前や暗黙知を抜かさず、「自分が思う1.5倍くらい細かく説明する」意識を持ってみると良いかもしれません。

②その人がスッと理解しやすい「たとえ話」を用意しておく

その人が興味があるとか、経験してきて想像がしやすいこと(例えばサッカーや学校)に例えたりすると理解を促進できたりします。

例えば、実例でいうとポート番号の説明するときにお店に例えるなど。

ポート番号 をお店に例えてみる

HTTPS 443 → お客さんが自由に入れる玄関

SSH 22 → スタッフしか入れない関係者通用口

③小さい成功体験に気づいて、褒める

ディレクターは具体的な成果が見えづらい分、自らの成長実感が薄い可能性があります。 小さな自身を積み重ねるために、成長に気づいたら、素直に褒めてあげるといいと思います。


「スケジュールの切り方の精度が上がったね」


「前回漏れてたタスクを、今回は事前に気づいて対処できたね」

など。

④全部をいきなりやらせない。


ディレクターのタスクは多岐にわたるため、いきなりすべてのタスクをこなすのは難しいと思います。

このあたりは業種や本人の志向・特性にもよると思いますが、

・基礎体力(進行管理、Web開発の基礎知識) ・応用(企画、マーケ)

などに切り分け、段階的にやっていくのが良いと思います。

最後に

まとめると「Web未経験者の方でもWebディレクターになれる可能性がある」という風味で書きました。

また求人サイトを覗くと、ちらほら未経験でもWebディレクターの職種を募集している会社を見かけるので、ワンチャンあるのかもしれません。


とはいえ、Webディレクターとは基本的にどのような業界であっても、Web開発に携わる、”ヒト・モノ・カネ”をハンドリングしていくような立ち位置での仕事で、言い換えると”Web開発における現場監督”というポジションですので、基本的にはやはりweb制作の素養があるかないかは大きな差になると思います。

コメント